目次
こんな症状はありませんか?
- 血便・下血
- 腹痛
- お腹の張り
- 下痢や便秘
- 下痢と便秘を繰り返す
- 残便感
- 便が細くなった
- 吐き気・嘔吐
- 貧血
- 体重減少
- 背中の痛み
- 排尿障害
大腸がんを患っている場合、これらの症状が現れる頃にはがんがかなり進行している可能性が高いです。便潜血検査で陽性と判定された場合、無症状であっても必ず大腸カメラ検査を受診しましょう。
大腸がんになりやすい年齢や生活習慣
年齢の傾向
他のがんと同じく、年齢が高ければ高いほど大腸がんのリスクは高くなる傾向にあります。 特に40歳以上の方は男女ともに高リスクとなりますので、毎日の生活習慣に留意するほか、定期的な内視鏡検査やがん検診の受診が重要です。
生活習慣の傾向
様々ながんの中でも、日本において大腸がんの発症者は増えつつあります。特に女性は、食事の欧米化による大腸がん発症への影響が強いということが分かっています。 その他にも大腸がんのリスク要因として、アルコールの摂り過ぎ、タバコ、肥満、牛肉や豚肉に偏った食事などが挙げられます。
遺伝
血縁関係のある方の中に大腸がんや大腸腺腫などのポリープを患った方がいる場合、自身も大腸がん発症のリスクはかなり高くなります。
大腸がんとポリープについて
大腸ポリープには、大腸がん化するものとしないものがあります。がん化の恐れがないポリープについては、腸の閉塞や便との接触による出血などが起こっていない場合、治療しなくても問題ありません。
一方、がん化のリスクがあるポリープについては可能な限り早めの切除を検討する必要があります。
大腸カメラ検査では、発見された大腸ポリープや早期大腸がんを検査中に切除することができます。また、日帰りでの大腸ポリープ、早期大腸がんの切除が可能な場合もあります。 大腸がんのリスクが高い40歳以上の方、あるいは便潜血検査で陽性判定が出た方は、ぜひ一度大腸カメラ検査を受診し、大腸がんや大腸ポリープの早期発見に繋げましょう。
大腸がんの検査方法
大腸がんの有無を調べるには、以下のような検査が実施されます。
大腸カメラ検査
CCDカメラの付いたスコープにより大腸の粘膜を直接調べることで、病変の状態(位置、形状、色調、範囲、高さなど)を確認できます。検査中にポリープを切除したり、疑わしい組織を採取し生検することもできます。
検査2日前から、便を柔らかくするためのお薬を飲むといった準備をする手間はありますが、大腸ポリープや大腸がんだけではない様々な腸疾患を早期発見し、治療に繋げられる大変メリットの大きい検査です。大腸がんの検査方法には様々ありますが、その中でも特にお勧めできる検査です。
便潜血検査
便潜血検査は、便に混じっている血液を目に見えないものまで検知することが可能な検査です。大腸がんが便と擦れると出血が生じ、血の混じった便(血便)が出るようになりますが、その血液は肉眼で見えるものだけではありません。そのため、便潜血検査の実施が重要となるのです。
便潜血検査で陽性判定となった場合、大腸カメラ検査にて病変の有無等の確認が必要となります。
注腸造影検査
バリウム溶液と炭酸ガスを肛門から注入し、レントゲン検査を実施することで、大腸の位置、形、径、粘膜の状態などを確認できます。数ある検査方法の中でも古くから実施されている検査ですが、デメリットがいくつか存在します。1つ目に、直腸、盲腸、S状結腸など、腸が重なっている箇所の観察の精度が劣っていることが挙げられます。また2つ目にバリウムが滞留している箇所の病変を見分けにくいこと、3つ目に便をポリープと誤診してしまうケースがあることが挙げられます。これらのことから、近年では実施ケースが少なくなっている検査です。
直腸指診
肛門から10cmほどの箇所を触診し、直腸がんや、子宮・卵巣・前立腺・膀胱の異常を調べることができます。ただし、全体で1mほどある大腸の中で触診できる箇所はわずかしかありません。
肛門直腸鏡検査
10cmほどの長さの肛門鏡を肛門に入れ直腸を観察する検査ですが、直腸指診と同じく検査可能な箇所には限界があります。
3D CT検査
CT検査では3次元の立体画像情報を収集できるため、その点では有効な検査と言えます。ただし、注腸造影検査と同じく便をポリープと誤診してしまう可能性があることや、早期大腸がんのような平坦な病変を見分けることが困難だという難点があるほか、放射線被ばくのデメリットもあります。そのため、内視鏡検査を実施しづらい事情がある場合に行われることが多いです。
MRI検査・腹部CT検査
CT検査がレントゲンの透過率によって画像を取得する一方、MRI検査は磁気の共鳴を用いて画像を取得します。造影剤も用いるケースもあります。 大腸カメラ検査と併せて実施することで、大腸がんの転移の状態など、病気の全体像を把握できるというメリットがあります。
超音波検査
大腸がんの発見目的で実施するのではなく、主にがんの進行状況や転移の状態を調べるために用いられます。
PET検査
がん細胞は、通常の細胞よりも糖分を多く取り込むという性質があり、この性質を用いたのがPET検査です。ブドウ糖に似た薬剤を体内に投与し、その集まり具合を調べることでがんを見分けることができます。
この検査により早期の胃がん、大腸がんを発見することは困難ですが、進行した大腸がんや、食道がん、すい臓がん、肺がん、乳がんなどを見つけることが可能です。
大腸がんのステージ分類
がんは、その深さ、リンパ節への転移、遠隔転移の有無などによる「ステージ(病期)」の分類によって進行度合いが表されます。その段階は、0期、I期、II期、III期、IV期の5種類です。
ステージ | 進行度合い |
---|---|
ステージ0 | がんが粘膜内のみに存在している状態 |
ステージI | がんが大腸粘膜下層まで及んでいるが、周りのリンパ節への転移はない状態 |
ステージⅡ | がんが大腸固有筋層まで及んでいるが、周りのリンパ節への転移はない状態 |
ステージⅢ | がんが固有筋層の先の漿膜下層にまで浸潤していて、周りのリンパ節あるいは少し離れたリンパ節にも転移がみられる状態 |
ステージⅣ | 肝臓や肺などに遠隔転移がみられる状態、あるいは腹膜播種がみられる状態 |
転移の恐れがなく、粘膜下層に浸潤しているのが1,000mm未満である早期大腸がんであれば、大腸カメラ検査にて根治切除できます。 それ以上進行している場合、外科手術が必要になることがあります。